こんにちわ、りんりんです。
アルツハイマー型認知症ってご存知ですか?
ついさっき言ったことをすぐ忘れてしまったり、症状がひどくなると徘徊や異常行動が目立ってきます。
ひと昔前までは認知症という括りで、
「もう年取ってボケちゃったんだよね」で済まされてきましたが、
近年では若年性のアルツハイマーが結構話題に挙がります。
病気を完治させる有効な治療薬は今だ開発されておらず、緩やかだけど確実に進行はしてしまいます。
さて、西洋薬でも太刀打ちできない場合は漢方を使ってみましょう。
ただ漢方でも今のところアルツハイマーには完全に効力を発揮するわけではないことを覚えておいてください。
アルツハイマーの症状

原因物質
アルツハイマーの始まりはわかっていません。
なぜか突然脳内にアミロイドβペプチドが集まることで老人斑と呼ばれるタンパクの塊ができてしまい、これが脳の神経伝達を邪魔することで脳の機能が落ちてしまうのです。
神経伝達ができなくなる
神経細胞同士は軸索というレールによって繋がっています。
前項のアミロイドβペプチドによってそのレールの繋がり(伸展)が阻害されてしまうと神経伝達ができなくなってしまうのです。
神経細胞の死滅
脳内の神経細胞は互いに連携しており脳自体の機能が失われると神経細胞も死んでしまいます。
どんどん神経細胞が死滅することで所定の脳領域の機能が落ち、最終的には最も大事な「呼吸をする」「排尿排便をする」などが自分でできなくなります。
治療(西洋薬)

治療薬は西洋薬が第一選択になります。
西洋薬ではいくつか治療薬が出ていますが、冒頭にあったようにあくまで病気の進行を遅らせるだけです。
ドネペジル
一番有名なものでドネペジルというものがあります。
これは神経伝達物質であるアセチルコリンを神経間で増やしてくれます。
アルツハイマー患者さんの神経細胞は本来アセチルコリンを受けて命令のスイッチとなるところ、命令を受けれずに神経細胞が死んでしまっているみたいです。
なのでアセチルコリンを増やしてあげることで命令を受けやすくします。
ただし、神経間の軸索の伸展が止まっている場合は
効果を得ることができません。
アセチルコリンが出る場所がないからです。
問題はこの軸索の伸展にありそうですね
アルツハイマーに使える漢方とは

さあ本題です。
アルツハイマー型認知症を改善する漢方があります。
「帰脾湯」です。この項目では帰脾湯について解説していきます。
帰脾湯は軸索伸展を促す
軸索の伸展阻害を改善しないと根本的なアルツハイマーの改善には繋がらないと考えます。
帰脾湯はその軸索伸展を促進することでアルツハイマー病モデルマウスの記憶改善をしたという報告がいくつかあります。
加味帰脾湯はアルツハイマーモデルマウスの物体認識記憶障害を改善した。
Kamikihi-to (KKT) Rescues Axonal and Synaptic Degeneration Associated with Memory Impairment in a Mouse Model of Alzheimer’s Disease, 5XFAD
帰脾湯は記憶障害とシナプスーニューロンの喪失を改善した。
Kihi-to, a herbal traditional medicine, improves Abeta(25–35)-induced memory impairment and losses of neurites and synapses
帰脾湯の構成生薬
帰脾湯の構成生薬を見てみましょう。
酸棗仁・蒼朮・茯苓・竜眼肉・大棗・当帰・甘草・生姜・木香
にプラス大事な生薬3つをまとめてみました。
以下の3つはアルツハイマーに効果的と言われる生薬になります。
・黄耆
補剤の1つであり、体力低下した患者さんに病気に対する
抗病力アップに効果があります。
・人参
古来より重宝されていた補剤です。
人参湯もとても有名ですね。
神農本草経には「益智」や「久服軽身延年」など
記憶力アップ・延命効果などの記載があります。
・遠志
古来より「能く智を益し、志を強くする」と言われた
生薬です。人参と同じく記憶力や脳活性を良くする
作用があります。
加味帰脾湯
帰脾湯に柴胡と山梔子が加わると加味帰脾湯になります。
追加された2生薬は清熱作用のある肝の失調を整えてくれます。
肝は気血水の流れをコントロールする臓器です。精神状態の安定化にも関与しているため、より精神症状が強ければ加味帰脾湯が推奨されます。
山梔子は長期間投与することで腸間膜静脈硬化症の報告があります。
アルツハイマーのように長期間に渡って内服する場合は帰脾湯を推奨します。
まとめ

・アルツハイマーの治療薬はまだ発展途中。
・帰脾湯、加味帰脾湯の黄耆、人参、遠志が効果ありそう。
若年性アルツハイマーは家族も含めて病状の進行と共に影響が非常に大きい疾患です。
漢方もヒトでの臨床試験が進み、少しでも有用性が証明されるといいのですが。
今日はこのへんで、ではでは~~!