こんにちわ、ここ最近はコロナの影響で残業が少なくなったことで睡眠時間が増えて健康になりつつあるりんりんです。やはり睡眠は大事です。免疫力が高まって風邪も引きづらい体になってる気がします。
でもショートスリーパーな人ほど風邪ひいてないような気もしますけど。
あの方々はどういう身体の構造してるんでしょうか。
今回の記事は小柴胡湯。柴胡剤の基本方剤になります。風邪の初期が終わったときに使います。
副作用が有名すぎて中々使いにくい漢方なのが正直なところです。
まずは適応です。どんな症状に使えるでしょうか?
<適応>添付文書を少し簡略化しました。
症状
体力中等度で上腹部がはって苦しく(胸脇苦満)、
舌に白苔があり口の中が気持ち悪い(半表半裏)食欲不振、時により微熱、悪心。
証は中等。全体的に熱を持って気が不足した状態。
具体的な病名
急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全
慢性肝炎
構成生薬を紐解いてみます。
生薬名 | 読み | 組成量 | 薬能 |
---|---|---|---|
柴胡 | サイコ | 7.0 g | 清熱 |
半夏 | ハンゲ | 5.0 g | 理気・制吐 |
黄芩 | オウゴン | 3.0 g | 清熱 |
大棗 | タイソウ | 3.0 g | 補気 |
人参 | ニンジン | 3.0 g | 補気 |
甘草 | カンゾウ | 2.0 g | 補気 |
生姜 | ショウキョウ | 1.0 g | 理気・制吐 |
味やにおいなどといった性状
味:わずかに甘い
におい:漢方特有のにおい
添加物:ステアリン酸Mg、乳糖、ショ糖脂肪酸エステル
人参と大棗と甘草が構成されているため甘さが際立ちます。生姜はショウガのぴりりとした辛みを持ちますが構成量が1.0gと少ないためうまく甘みにマスクされている印象です。
味的には非常に飲みやすい漢方となっています。
においは生薬特有のものです。漢方って感じがしますね。
添加物には乳糖が入っているので乳糖不耐症の方は注意です。特に小柴胡湯は小児患者さんにも使用されるのでお子様のアレルギーにも注意が必要です。
生薬の薬能
キー生薬は7.0g入っている柴胡ですね。黄芩が3.0g。どちらも清熱作用のある生薬です。
小柴胡湯のポイントは熱性の病状が続いている状態を改善するというところです。
つまり解熱にしっかり効いてほしいんですね!
他は気の補充と撹拌になります。清熱と補気を見ていきましょう。
<清熱>
清熱と書くと身体自体を冷やしてくれるイメージですが、柴胡は身体を冷たい風で冷やすイメージは少し違います。身体にこもった熱を奪い取って元の温度に戻してあげるイメージです。
冷たい風を吹き付けて身体が冷えすぎるのも風邪の中盤としては良くありません。
風邪の中盤は半表半裏の状態。
つまり熱源となる病邪が表に出たり裏に出たりしている状態をさします。
熱を適度に取ることが大事になります。
ちなみにここでいう半表半裏とは表が体表、裏は臓器になります。
お腹と背中ではありませんよ!
<補気・理気>
補気は不足した気を補充する意味。理気は補充した気が充満しないように撹拌する役目を持ちます。
詳しくは下記事に書いてありますのでご参考に。
小柴胡湯は肝気に効果を発揮します。
肝の調子を整えるということです。肝は気血水を体中に巡らせる作用があります。特に脾胃とは密接な関係にあり、肝の機能低下は消化器機能に大きく影響がしてきます。→食欲低下
肝の気を補充・撹拌することは全身の気血水の循環に関連するのです。
実際どうやって使うの

風邪の中盤
風邪の中盤というのは急性期を過ぎた亜急性期(風邪と気づいて3日目)になります。
寒気や頭痛、くしゃみ鼻水は急性期の症状として有名です。ここで使うにはまだ早いです。
有名どころでは葛根湯ですね。
亜急性期では先ほども出てきました半表半裏の状態、熱が出たり下がったりしている状態です。
また肝気の低下による食欲不振も風邪の中盤の症状として現れます。
慢性肝炎
こちらの慢性肝炎は今の抗ウイルス薬が出る前まで相当使われていました。
というのも治療薬がなかったからです。肝の不調を示すサインは胸脇苦満です。
左右の肋骨下部のつまった重い感じ、抵抗と圧痛。
両方に痛みが出る場合と右側だけに強く出る場合がある。
この胸脇苦満が肝臓の腫れを連想させるため、小柴胡湯は肝臓に効くとされています。
でもここまで読むとそんな非科学的なことを言われてもね~と思うかもしれません。
小柴胡湯の肝臓への効果は論文で証明されています。
「多施設二重盲検試験による慢性活動性肝炎に対する小柴胡湯の臨床効果」平山千里 他
「小柴胡湯によるC型慢性肝炎から肝硬変への進展抑制効果」中島修 他
↑2つは90年代に発表された論文ですが、80年代にはすでにトランスアミナーゼ上昇に有効であると報告がされていました。
そしてインターフェロン療法が効果を認められ、小柴胡湯も併用してみようかと使い始めたら、なんと間質性肺炎の頻度が上昇。
これによりインターフェロンと小柴胡湯は併用禁忌と薬剤師あれば知らない人がいないほどの常識になりました。
副作用
・間質性肺炎
・発熱、呼吸困難、咳嗽が現れたらすぐに連絡を(間質性肺炎の疑い)
・インターフェロンとの併用
・肝硬変、肝がんの患者さん
・慢性肝炎の肝障害で血小板が10万/mm3以下の患者さん(肝硬変が疑われる。)
間質性肺炎は柴胡剤以外にも表れる可能性がある副作用です。
急激な呼吸困難や発熱には注意が必要です。聴診器を当てるとパチパチと特徴的な捻髪音が聞こえます。
インターフェロンとの併用は禁忌です。
肝炎以外にもインターフェロンは腎がんや多発性骨髄腫などにも使うので注意が必要です。
近年の肝炎治療ではインターフェロンフリーの場合が多いため安心ですが、インターフェロン治療自体は臨床現場で残っていますので必ず併用薬は確認しましょう。
まとめ

- 小柴胡湯は中盤の風邪に。
- 慢性肝炎にも使えます。
- 間質性肺炎には注意!
- インターフェロンとの併用は禁忌!
小柴胡湯は漢方には副作用がない!という安全神話を崩壊させた漢方です。
れっきとした薬ですから絶対的に副作用がないとは言えないのです。
今となっては過去に副作用の報道が大々的にされたので、処方としてあまり出ることはなくなりました。
他にも使える漢方はありますし、肝炎自体は治療薬がかなり進歩してきましたので。
少しでも漢方を使っておかしな症状が出たら薬剤師に相談してくださいね!
ではこのへんでーー。