こんにちわ、りんりんです。
以前、ボーコレンの解説をしました。
ボーコレンの中身は漢方である五淋散!
この記事では五淋散をさらに紐解いていきます。
五淋散の詳細を知らない人向けの記事です。
まずは適応です。どんな症状に使えるでしょうか?
<適応>添付文書を少し簡略化しました。
症状
おしっこが多い、おしっこする時に痛みが生じる、おしっこを全て出し切った感がない。
証は中~実証。水と血が滞り、不足もしている状態。
具体的な病名
頻尿、排尿痛、残尿感
構成生薬を紐解いてみます。
生薬名 | 読み | 組成量 | 薬能 |
---|---|---|---|
茯苓 | ブクリョウ | 6.0 g | 利水・利尿 |
黄芩 | オウゴン | 3.0 g | 清熱 |
滑石 | カッセキ | 3.0 g | 利水・利尿・清熱 |
甘草 | カンゾウ | 3.0 g | 調和・緩和 |
地黄 | ジオウ | 3.0 g | 補血・活血 |
車前子 | シャゼンシ | 3.0 g | 利水・利尿 |
沢瀉 | タクシャ | 3.0 g | 利水・利尿 |
当帰 | トウキ | 3.0 g | 補血・活血 |
木通 | モクツウ | 3.0 g | 利水・利尿・清熱 |
山梔子 | サンシシ | 2.0 g | 清熱 |
芍薬 | シャクヤク | 2.0 g | 補血・活血 |
味やにおいなどといった性状
味:わずかに苦くて甘い
におい:漢方特有のにおい
添加物:ステアリン酸Mg、乳糖
生薬で見ていくと清熱が多いですね。苦み=清熱なので納得です。
甘さは甘草由来?服用のしやすさはまあまあですね。
においは生薬特有のものです。漢方って感じがしますね。
添加物には乳糖が入っているので乳糖不耐症の方は注意です。
生薬の薬能
構成生薬の過半数が清熱か利水です。
おしっこをいっぱい出してばい菌を出そうとすることを基本とするため、利尿効果は強いです。
<利尿・清熱>
五淋散の半分は利尿と清熱作用を持つ生薬で構成されています。
感染による炎症に効果がある漢方は大概、清熱作用があります。
炎症で熱を持ち、痛みも出ている場合は冷やすのがこの漢方のやり方です。
漢方自体に抗菌作用は西洋薬並みにはありません。
感染症なら西洋薬のほうがターゲットを忠実に狙えます。
ただし近年、ウイルスに対しては効果があると実験データも出てきています。
利尿では鼻水や痰と同じように考えましょう。
鼻やのどについたばい菌はどのように外へ排出されるでしょうか。
水を伴って排出されますね。
おしっこも膀胱炎の原因となる菌を一緒に出してくれます。
残念ながら膀胱の原因菌なのでおしっこ以外からは出ないでしょう。
<補血・活血>
当帰芍薬散で有名な当帰と芍薬が構成されていますね。
これらは駆瘀血剤と言われる漢方に多く含まれています。
女性はしばしば血のめぐりが悪くなる瘀血に陥りがちです。
五淋散が女性向けと思われる原因としては膀胱炎が女性に起こりやすいこと+駆瘀血の生薬が構成されている点があります。
血が滞り、不足してしまうことで瘀血状態になってしまいます。
血は栄養を各臓器に運んでくれる重要な液体ですよね。ばい菌と戦うためにはこの栄養が必要になってくるのです。
実際どうやって使うの

慢性的な尿トラブル
膀胱炎と書いてしまうと、抗菌薬的な感覚で使われてしまうのであえて尿トラブルとしました。
膀胱炎由来の尿トラブルのほか、加齢による残尿や頻尿に使えます。
膀胱炎の診断を受けて、抗生剤を使用しある程度症状が落ち着いたときにまだ尿トラブルがある場合は後押しとして使うのもありです。
猪苓湯との使い分け
症状としてはより慢性化している場合は五淋散を用いましょう。
五淋散の適応証は中~虚証に対して猪苓湯はより実証の方にも使えます。
すなわち、残尿・血尿・排尿痛といった急性期の初期症状がある場合は猪苓湯を用い、その後の継続した症状がある場合は五淋散へシフトチェンジします。
副作用

・アルドステロン症
・ミオパチ―
・低K血症
甘草が2.5 g / 日 以上含まれているため、甘草由来の副作用になります。
詳しくは別記事で紹介していますのでそちらを。
また山梔子の長期投与により腸間膜静脈硬化症のおそれがあります。
5年以上使っている場合はお腹の検査を推奨します。
まとめ

- 五苓散は慢性的なおしっこのトラブルに
- 膀胱炎を直接的には治療しない
- 駆瘀血の作用がある生薬が入っている
- 猪苓湯より後に使うイメージ
- 甘草の重複に注意
ボーコレンの中身である五淋散について解説してみました。
当帰芍薬散や甘草の重複には注意が必要ですね。
それではでは~。