こんにちわ、りんりんです。
抑肝散は臨床現場において、不穏症状(主に興奮性)を抑えてくれる大事な漢方です。
実は抑肝散には陳皮と半夏が加わった、
抑肝散加陳皮半夏という派生漢方があるのです。
この記事では、陳皮と半夏が加わったらどのような効果が期待できるのか。
その違いを解説していきます。

違いと共通点

まずは両漢方の違いと共通点を色々な項目から見ていきましょう。
名前からして陳皮と半夏が加わっていますが、違いはそれだけでしょうか?
詳しく見ていきます。
違い
抑肝散加陳皮半夏は生薬である陳皮と半夏が抑肝散に追加されています。
陳皮・半夏の特徴として気を撹拌し胃腸を整える作用があります。
そのため、虚証で胃腸が弱く抑肝散の適応がある人にはもってこいです。
味覚にも違いがあります。陳皮・半夏は苦み・渋みが増します。
抑肝散はほのかな甘みがありますが、抑肝散加陳皮半夏は
渋みが中心に甘味を味わうことはできないでしょう。
共通点
生薬の構成とその量は同じです。
抑肝散加陳皮半夏には陳皮が3.0g/日、半夏が5.0g/日追加されます。
添付文書上の適応は同じです。
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症
これだけでは、どちらを使い分けるかはわかりませんね。
添加剤や用法用量も同じです。
使い分けは

陳皮と半夏が加わることでの使い分けを解説します。
胃腸が弱い人にと前項では書きましたが、
具体的な症状や使用例を見ていきましょう。
こんな症状に
抑肝散の基本的な使用は、興奮症状の抑制です。
入院中の不穏(興奮性)のほかに
認知症に伴う行動障害や精神症状の改善に対してもメジャーな使われ方を近年されています。
抑肝散が多く使われることでエビデンスの集積が増える一方で、
抑肝散加陳皮半夏のエビデンスは正直高くないのです。
診療ガイドライン上でも、抑肝散加陳皮半夏を推奨するものはありません。
どちらを使うべき
抑肝散VS抑肝散加陳皮半夏の報告がないので、
どちらを推奨したほうが良いという根拠がありません。
よって、抑肝散を使える患者さんの状態に応じて使い分けましょう。
抑肝散の内服歴があり、時間と共に体力の低下や胃腸虚弱が目立つようになってきたら切り替えるという手もありです。
注意点
共通の注意点は甘草の重複です。

まとめ

この記事では抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いを解説してみました。
生薬2つも加わっているものの効果が増大しているわけではなく、
補助的な作用が増えたと言えます。
またエビデンスも抑肝散のほうが強く、積極的な抑肝散加陳皮半夏の推奨は現段階ではできません。