冷え症への漢方

【T-023】当帰芍薬散は胃痛に注意だけど更年期障害・妊娠中にも使える婦人科のエース漢方です!【トウキシャクヤクサン】

こんにちわ、たまの休みはだいたい雨なりんりんです。
梅雨に入るとさらにたまの休みが雨になる確率が上昇するので困ったもんです。
天候を気軽に操ることができれば私かあらりんりん賞を授与いたします。
この記事では婦人科で超メジャーな漢方である当帰芍薬散について触れていきます。
婦人科の漢方は以前も書いたのですが→見るからに寒がりさんの冷え
軽くしか記載しなかったのでここでは心行くまで掘り下げていこうと思います。

まずは適応です。どんな症状に使えるでしょうか?

<適応>添付文書を少し簡略化しました。

症状

筋肉が軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいもの。
証は中等~虚弱で疲れやすく冷え症がある人。

具体的な病名

貧血、倦怠感
更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)
月経異常(月経不順、月経困難、不妊症)
妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)
脚気、半身不随、心臓弁膜症、動悸、慢性腎炎

構成生薬を紐解いてみます。

生薬名読み組成量薬能
芍薬シャクヤク4.0 g補血、活血
蒼朮ソウジュツ4.0 g利水
沢瀉タクシャ4.0 g利水
茯苓ブクリョウ4.0 g利水
川芎センキュウ3.0 g補血、活血
当帰トウキ3.0 g補血、活血
ツムラ当帰芍薬散7.5 g中

味やにおいなどといった性状

味:わずかに渋い
におい:漢方特有のにおいだが臭くはない・・・と筆者は思う。
添加物:ステアリン酸Mg、乳糖

この漢方は味が特徴的です。
生薬は一般的に五味(酸味,苦味,甘味,辛味,鹹味 (塩味) )で分類されるのですが、
渋みってない!
でも苦いコーヒーと渋いお茶って明らかに味が違いますよね。
一説によると渋みは味というより舌感のようです。
渋柿や渋茶を摂取したときの独特の引っかかり感が渋みと表現されるようですね。
こんだけ大量の生薬で構成されているので味もごちゃ混ぜになりそうです・・・
においは生薬特有のものです。漢方って感じがしますね。
添加物には乳糖が入っているので乳糖不耐症の方は注意です。お子様も注意が必要です。

生薬の薬能

構成生薬は6つですが、薬能は大きく分けて2つ。
利水と補血です。中でも当帰と芍薬は当帰芍薬散と言われるくらいなのでキー生薬となります。
<補血>
当帰・芍薬・川芎には血虚を補う効果である補血効果があります。
月経異常(無月経や過小月経、過少経血量)は血が不足していることがわかります。
これは虚証の特徴にも当てはまります。
すなわち血の異常として瘀血や血虚が挙げられます。
そこに生薬で血を補充してやることで血の循環を正常なものへとバランスとってくれると考えられます。
<利水>
蒼朮・沢瀉・茯苓には利水効果である水の循環を正常化してくれる作用があります。
ふむ、血の循環や補う意味はわかるけど、利水は何の役に立つのでしょうか。
水の異常は水毒して現れます。
水毒とは水が滞ることによる、むくみやめまい、つわりといった妊娠中に強く出る症状です。
また、余分な水分を除くことで安胎効果も得ることができます。

実際どうやって使うの

基本的には婦人科疾患で使います。
月経不順、妊娠・出産に伴う症状、更年期障害とどの世代にも使えるオールマイティーな当帰芍薬散!

月経不順

なんと言っても婦人科のエース漢方ですから、月経に困ったらすぐ使えます。
ただし注意点は虚証の人向けってところです。
証の見誤りは漢方の最大限の効果を引き出すことができなくなるので注意。
月経不順の実証・虚証を表にしたので参考にしてくださいね!

症状実証虚証
生理の頻度多い少ない
生理の期間ほどよい短すぎ、長すぎ
生理痛生理前から生理開始から
おりもの粘り気水っぽい
経血多く粘調少なく淡色
証の見極め簡単チェック表

妊娠、出産後

妊娠時や出産後は体力・気力が低下することで虚証へ傾きがちです。
なので当帰芍薬散で虚を補うイメージになります。
実証=体力がある人には当帰芍薬散は向きませんので桂枝茯苓丸などがおすすめです。
妊娠中はつわりやむくみ、めまいがつらい症状として考えられます。
上述のとおり水毒を利水作用でうまく循環してやると症状が改善してくれます。
また、補血作用のある当帰・芍薬・川芎は鎮痙、鎮静もあるので子宮筋の緊張を緩和してくれるので過度の痛みや不正出血、痔にも効果を発揮します。

冷え症

実証の冷えにはこちら

虚証の冷えにはこちら

更年期障害

症状は2つに分別できます。
・身体的な症状が主に出るもの。
・精神神経症状が主に出るもの。
当帰芍薬散は前者に使われます。主な症状としては体力低下している冷え。そのほかにめまいや動悸、頭痛といった症状が続いている場合。

不妊症・排卵障害

黄体機能不全に有効とされます。
黄体ホルモンに関与する放出ホルモンを増加させることで機能を改善してくれます。
身体の中で黄体ホルモンが増える合図で排卵が行われるため、排卵障害のある人には有効と考えられます。

その他

脚気、半身不随、心臓弁膜症、動悸、慢性腎炎
と書いたはいいが・・・
実臨床でこれらをターゲットに使った所を見たことない!
脚気と半身不随と慢性腎炎は水血の循環を正常に戻すことで症状改善と推理できます。
でも効果はどうなんでしょう。
心臓弁膜症・・・これは謎!
根拠となる文献には術後の女性の愁訴に使われているので弁膜症は関係なさそうだし。
「女性の心臓弁膜症術後の愁訴に当帰芍薬散が奏効した1症例」
動物実験では心臓移植で使われた話が。
「Tokishakuyakusan Induces Prolonged Survival of Fully Mismatched Cardiac Allografts and Generates Regulatory Cells in Mice」

胃痛が主な副作用

これらの症状をもつ人には慎重に

胃痛→胃腸がとても弱い人、すでに食欲不振や嘔吐がある人。

胃腸への副作用が出やすい漢方になります。
ただ虚証の人は胃腸虚弱も併発している場合が多く、そのパターンではまず胃腸の不具合を治してから(人参湯や六君子湯などを使用)当帰芍薬散を使う方法もあります。

まとめ

・当帰芍薬散は虚証の人向け。
・婦人科のエース漢方。
・血と水の補充と循環。
・婦人科以外の症状には医学的根拠が???
・胃痛が元からある人は注意。

薬といえば基本的には妊娠中はやめてくださいね~となるけど、この漢方はむしろ推奨。
婦人科領域では使いやすいですね!でも証の見誤りには注意です。
女性には強い味方になるでしょう。
ではこのへんで~~~。

気になったらこちらをどうぞ

当帰芍薬散に人参が入った漢方です。胃痛を人参でうまくカバーしてくれています。
一般用薬のため生薬量は約1/2に抑えられています。セルフメディケーションでまずはお試しで使ってみて、
合ってそうなら医療機関で受診後、医療用漢方を使うのがオススメです。